取り組み事例紹介

日揮株式会社

〈業種〉建設 ─〈分類〉キャリア(職務適応)

活用戦略を支えるネットワークづくり

Q. 外国人社員活用の背景と現状を教えてください。

1928年に、日本初のエンジニアリング会社として出発した当社は、これまでアジア、中近東、アフリカ、南米、東欧など世界各地で石油・ガス・石油化学・LNGといったエネルギー分野の国家プロジェクトに参画をしてきました。特に高度なエンジニアリング技術とプロジェクトマネジメントで、数多くの大規模プロジェクト手掛けており、世界約70カ国、2万件以上にもおよぶプロジェクト経験を有する会社です。横浜本社にいる約1,500人の社員のうち、外国人社員は40名程度ですが、他にも国内外の協力会社などから多様な国籍の人材が集まっているため、社内に約300人の外国人がおり、会議に一人でも日本語が話せない人間がいるとすべて英語で進めます。また、当社は海外売上高比率が高く、常時300~400人の社員が海外駐在しているなど、仕事のメイン舞台は海外なので基本的には様々な国籍の方を活用しています。新卒は技術職を中心に毎年50~70人程度採用をしていますが、そのうちグローバルな人材としては ①海外にいる日本人留学生 ②国内にいる外国人留学生 ③海外の大学で学んだ外国人学生 という3つの方法で合計すると例年10名程度採用をしています。新卒採用だけでなく、キャリア採用もしています。外国人社員の国籍は中国・東南アジア・欧米とそれぞれ概ね1/3ずついます。キャリア採用の半数は管理職としてプロジェクトにおいて責任ある立場に就いています。繰り返しになりますが、当社においては、外国人も日本人社員と区別なく活躍しています。

Q. 外国人社員の活用や定着に向けた施策について教えてください。

先ほどご紹介したように、当社では日本語か英語ができれば仕事を進めることができますが、それでも日本人は英語能力を向上させる必要がありますし、外国人は必要に応じて日本語能力を向上させる必要があります。この課題に対応するために、日本人社員にはTOEIC 860点以上であれば、外国人社員はビジネス日本語検定J1以上であれば奨励金を支給する制度を設けています。
 外国人社員の課題として、語学以外にはキャリア形成における時間軸を会社と本人でどう共有していくかがポイントとなります。当社のような企業の場合、プロジェクトも人材育成も、それこそ5年・10年単位で時間がかかるものですが、外国人社員の方の場合、どうしてもキャリア形成が短期志向になってしまう傾向がありますのでこの時間軸を共有しておくことが大切になります。このあたりは会社も本人もお互いに見極めが必要な分野であるため、入社後3年間は1年更新の嘱託契約とし、組織に適合していけるかどうかの判断時間としています。
 それ以外にも社内の部活動・クラブ活動などインフォーマルコミュニティーを通じて様々な国籍・立場の人間同士がネットワークを作っています。定着を踏まえると効果的なようです。特に新入社員については、同期のネットワークを重要視しており、入社の時期を極力合わせるようにしています。日本人新入社員も早い段階で多様な国籍の人材と接することで、刺激になり社内の活性化にもつながっています。

Q. 日本の職場で受け入れるに当たり、工夫点等はありますか。

社員やパートナー企業・短期か長期かも限らずですが、日本で働きやすいようにいくつか工夫をしています。例えば、会議室やトイレなど社内のファシリティー案内も英語で併記をしています。また、イスラム教徒の方も多くいるため、専用のお祈り部屋や、お祈りに際し足を洗うための専用のシャワールームなども用意しています。

Q. 今後の取組についてお考えはありますか。

既に取り組んでいることではありますが、グローバル展開をする中では日本人のグローバル化を引き続き推し進めていく必要があります。全体研修として英語プレゼンテーションや英語ネゴシエーション、英語ビジネスミーティングなどがありますが、これ以外に、当社では入社4年以内にほぼ全員が、1度は海外現場研修として6ヶ月間勤務し海外経験を積んでもらうようにしています。若手のうちに海外の現場を経験することが実際に仕事を進める上では大事だからです。

〈企業情報〉
日揮株式会社
(JGC CORPORATION)
設立 1928年10月25日
横浜本社所在地 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1
東京本社所在地 東京都千代田区大手町2-2-1
資本金 235億1,118万円(2009年3月31日現在)
売上高 単体3,499億円 連結4,509億円(2008年度)
従業員数 単体2,086名 連結5,858名(2008年9月現在)
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