取り組み事例紹介

富士通株式会社

〈業種〉電気機器 ─〈分類〉コミュニケーション(対人適応)

定着率向上のためのコミュニティ形成支援

Q. 外国人従業員活用の背景と現状を教えてください。

富士通グループは、IT分野において、各種サービスを提供すると共にこれらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクト及び電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用まで総合的に提供するトータルソリューションビジネスを展開しています。大きく分けて3つのソリューションを提供しているのですが、①テクノロジーソリューションは、法人向けに情報システムのコンサルティング、構築などを行うソリューションと情報システム管理の一括運用管理などを中心としたインフラサービスを提供しています。②ユビキタスプロダクトソリューションは、法人、個人向けにパソコンや携帯電等を提供しています。③デバイスソリューションは、デジタル家電や自動車、携帯電話、サーバ等に搭載されるLSIを提供する他、半導体パッケージやSAWデバイスを始めとする電子部品等も提供しています。今後、海外売り上げ比率を現状の30%から40%に高めていくことを目指して積極的にグローバル展開を進めていきます。
 弊社がグローバル採用を始めた背景としては、特定地域のマーケット開発や現地法人のマネージャー候補としてではなく、大きく分けて3つあります。1つめは国籍を問わず優秀な人材を採用したいということ。2つめは、海外売り上げ比率を高めグローバルビジネスを拡大していく中で、グローバルコンピテンシーを持った人材の獲得。3つめは国内組織のダイバーシティの推進です。
 グローバル採用を本格的に始めたのは2006年度からで、採用計画数の約1割を目処にこれまで積極的に行ってきました。年度によって異なりますが、毎年30名から50名を採用しており、現在では全社員の1%を超えるまでになっております。これは、上場企業の中でも多い方だと思います。

Q. 外国人従業員の活用や定着に向けた施策について教えてください。

弊社では、3年前から外国籍従業員の支援プロジェクトを立ち上げました。外国籍従業員が増えていく課程で、色々なセクションに分散されている彼等同士のグループが作れないかとか、日本語が得意でない従業員が英文資料を探すことが困難である等の声が多く聞こえるようになったため、人事部の外国籍従業員が中心となって英語ベースのコミュニティサイトを立ち上げる事を始めました。初めに外国籍従業員を集めて座談会を行い、掲載するコンテンツを決めました。そしてまず、人事制度の主な就労規則や来日時のビザの申請、帰国時の社会保険の取り扱い、電車の乗り方等の生活情報を掲載しました。
 一方で、座談会時に外国籍従業員からコミュニティの形成の要望が強かったため、2年目はコミュニティ形成サポートを中心に行いました。具体的には、外部講師を招聘し日本問題やグローバルビジネスについて等の大きなイベントを開催するなど、ウェブサイトでは出来ないface to faceでのコミュニティ形成をサポートしました。多いときは250名ぐらい参加するイベントもありますし、だいたい50名前後は毎回参加しています。イベント後の懇親会でもつながりを作れているようです。また、社外イベント活動として、英語ウェブサイト上にボランティア活動のコンテンツがあるのですが、外国籍従業員をサポートする社内サークルと連携して、バーベキューやお好み焼きパーティ等を企画して、外国籍従業員の家族を含めたフォローもしています。

Q. コミュニティサイトの運営課題などはありますか。

現在、外国籍従業員の半数程度がウェブサイトへ参加しているのですが、一時的なアクセスが多く継続的に利用されていないという課題があり、今後はその課題を解消するためにインタラクティブに情報交換などのコミュニケーションができる仕組みを作る予定です。
 また、コンテンツについても人事から配信するニュースを英訳したり、社内で使用するシステムのマニュアルを追加したりと徐々に増やしています。
 一方で、ウェブサイト以外にも日常業務、業務手続きなどの相談窓口として人事のフロントサービスというものがあります。このサービスは、今まで日本語のみの対応でしたが、今後、英語でメール対応の受け付けを開始します。その他にも先輩従業員が後輩従業員のフォローを行うbuddyシステム等の検討もしています。

Q. 外国人従業員の活用の将来的な展望を教えてください。

今後も積極的に採用を継続していくことと、本格的に定期採用を始めたボリュームゾーンの人材がこれから5.6年目を迎え、今後いかに定着させていくかというところです。そのためには、外国籍従業員を受け入れる上司への異文化トレーニングや外国籍従業員本人のキャリア開発支援、人事ルールの見直しなどを複合的に行っていく予定です。
 一方で、日本人従業員のグローバル化というのも同時に行っていく必要があり、日本人従業員のグローバル意識を高める取組みやグローバル人材育成のしくみを数年前から徐々に構築していますが、今後も継続、拡大して行っていきたいと思います。

〈企業情報〉
富士通株式会社
(FUJITSU LIMITED)
設立 1935年6月20日
決算期 3月31日
本店所在地 神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1
本社事務所所在地 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
資本金 3246億2507万5685円(2010年3月末現在)
売上 単独: 2兆1489億8200万円 連結: 4兆6795億1900万円(2009年度3月期)
従業員数 単独:25,134人 連結:172,438人(2010年3月末現在)
↑このページのトップへ